どうして人工妊娠中絶が集団虐殺なのか


グレッグ・カニングハム 著

ユダヤ大虐殺立案者はユダヤ人を憎んでいなかったか?

「ヘイトクライム」(憎しみによる犯罪)という表現は、被害者に対する犯罪者の「感情」、あるいは犯罪者の殺す方法によって定義するべきでしょうか。1999年8月13日付、オレンジ郡レジスターという新聞に掲載された、New York Timesの 記事は、アドルフ・アイクマンの伝記について報告しました。アドルフ・アイクマンは第二次世界大戦時、数百万人のユダヤ人の追放と殺人を担当していまし た。また、彼は死刑キャンプでのガス処刑室の使用を促進した人でした。その記事の副表題は、「ドイツのユダヤ大虐殺を先導したナチは憎しみではなく、従順 によって導かれたと言った」です。彼が自分の被害者を「憎んでいなかった」ということ(もし本当であれば)は、重大なヘイトクライムに対する責任から逃れ ることができるでしょうか。

征服者は黒人を嫌わなかったか?

奴隷制度もジム・クローのレガシーも、極端に憎しみに満ちた集団虐殺の種類の一つでしたが、トーマス・ジェファーソンは自分の奴隷を「愛」していたと自己弁護しました。「The Jefferson Scandals, A Rebuttal, Dodd, Mead & Company, 1981(ジェファーソンのスキャンダルの反論)」という本の作者であるバージニアス・ダブニーは、1806年から1822年までモンティチェロの監督者 であったエドモンド・ベーコンを引用しました。「ジェファーソンさんは…[奴隷]を決して働かせすぎなかった。また、ほとんど鞭で打たれることをせず他の 人にもそれを許さなかった」。でもこれは「愛」でしょうか。

ジョン・チェスター・ミラーは「The Wolf by the Ears, The Free Press, 1977(狼の耳をつかむ)」という本にジェファーソンは自分の奴隷を憎んでいなかったと語っています。「ジェファーソンはやさしけ、哀れみ深け、思いや りのある良い主人だと自分を自慢していた」。しかし、ミラーは続けて語っています。「それにもかかわらず、ジェファーソンの30人の奴隷はアメリカ独立戦 争の時、イギリス兵隊に逃げました。これは、ジェファーソンのやさしい取り扱いが奴隷解放の代用になるという間違った信念を論破するものです」。

ケーレブ・ペリー・パターソンは「The Constitutional Principles of Thomas Jefferson, University of Texas Press, 1953(トーマス・ジェファーソンの憲法的な原則)」という本で、ジェファーソンが驚くような自己弁明にとらわれていたと主張しています。
・・・ジェファーソンが自分の奴隷たちを解放しなかったのは、その奴隷者への思いやりの感情があったからです。一般の奴隷者を解放することは、飢えの道に旅立たせることと同じでした。ジェファーソンの言葉を使えば、子どもを見捨てることと同じです。
自分の奴隷者へ思いやりの感情がジェファーソンにあったので、奴隷制度は人間性への犯罪ではないと言えるでしょうか。メリルD.パターソンは「Thomas Jefferson And The New Nation, New York Oxford University Press, 1970(トーマス・ジェファーソンと新しい国)」という本にこう付け加えました。「・・・ジェファーソンの目から見ると、奴隷を解放することは無情でむ ごたらしいことでした。」奴隷制度より「無情な」あるいは「むごたらしい」ことはあるのでしょうか。にもかかわらず、ジェファーソンの貪欲さは奴隷制度の 否定が「無情なむごたらしさ」に見えるほど自己欺瞞にさせました。これは「望まれない」子どもを苦難の生涯から救うために「中絶する義務」があると言う主 張とあまり変わりません。この場合、すでに生まれている人の利己的な願望が未生の子どもの「大量」殺人の動機を与えることがさほど気にならないということ です。ジェファーソンの奴隷者への圧迫はそういうことでした。しかし、ジェファーソンが自分の貪欲さを恥じていたように、今日の妊娠中絶支持者は自分達の この行為を恥しています。

The Sage of Monticello Little, Brown and Company, 1981(モンティチェロの賢人)」という本では、ドゥマス・マロンはトーマス・ジェファーソンの自己の奴隷を持つことを正当化するための遠回しな表現について次のように説明しています。
ジェファーソンは、その不幸せな人間が財産として扱われたことを残念に思っていました。彼は奴隷という言葉自体を使いたくなかったのです。彼は自分の奴隷を指す時、普段は使用人あるいは自分の「人々」と呼んでいました。
ジェファーソンの利己的な言葉使いの空想世界は、フェミニストが「妊娠中絶」を「早産」と呼ぶときのぎこちない言葉使いを思い出させます。

ジェファーソンは黒人を残酷に扱う義務を夢想していました。バージニアス・ダブニーは「The Jefferson Scandals, A Rebuttal(ジェ ファーソンのスキャンダルの反論)」で1811年のジェファーソンからジョン・リンチ宛ての手紙を引用します。「自分の黒人を解放することは自分の義務を 破ることです。なぜなら、2,3人の優れた奴隷しか自分の面倒を見ることができないからです。」これは人工妊娠中絶の賛成者が使う「貧しさに生まれる胎児 が社会の負担になるから中絶する義務がある」という理論と同じです。

人工妊娠中絶された赤ちゃんにとって、自分の母親が自分を嫌っていなかったこということは、取るに足らないような同情です。


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