神様の異なっているみわざ
旧約聖書で裁きは、神様の「異なっているみわざ」 と呼ばれています。人は「なぜ 神は悪を滅ぼさないのだろう」と、思いますが、これは神の人間への忍耐強さの表れ でもあります。神様は、人間が自発的に真実の愛と道徳を選ぶことを望んでいます。
神様はこう言っています。「わたしは誓って言う。…神である主の御告げ。…わたしは決して悪者の死を喜ばない。かえって、悪者がその態度を悔い改めて、生 きることを喜ぶ。悔い改めよ。悪の道から立ち返れ。イスラエルの家よ。なぜ、あなたがたは死のうとするのか。」(エゼキエル書33:11) しかし、神様 は正しいお方ですので、悪を裁かなければなりません。神様はさらに言います。「あなたの神、主に対して、このようにしてはならない。彼ら、主が憎むあらゆ る忌み きらうべきことを、その神々に行ない、自分たちの 息子、娘を自分たちの神々のた めに、火で焼くことさえしたのである。」(申命記12:31) 神が嫌うことは、彼らが 異邦人だからではなく、また彼らが拝んでいた神々ではなく、彼らの拝み方(自分の 子どもを生贄にする残酷な儀式)です。
カナン人の儀式は次のようなものを含んでいました。
- 自分の子どもを生贄にする
- 近親相姦
- 獣姦
- 同性姦
- 儀式売春
エモリ人・カナン人に対する軍事行動は裁きでした。
そこで、アブラムに仰せがあった。 「あなたはこの事をよく知っていなさい。あなたの子孫は、自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴 隷とされ、四百年の間、苦しめられよう。しかし、彼らの仕えるその国民を、 わたしがさばき、 その後、彼らは多 くの財産を持って、そこから出て来るようになる。あなた自身は、平安のうちに、あなたの先祖のもとに行き、長寿を全うして葬ら れよう。そして、四代目の者たちが、ここに戻って来る。それはエモリ人の咎が、その ときまでに満ちることはないからである。 」(創世記15:13-16)これらの国々に神様・イスラエルが何をするかという箇所を見てみましょう。
- 彼らを 消し 去ろう(出エジプト23:23)
- 民のすべてをかき乱し(出エジプト23:27)
- 敵があなたに 背を見せるようにしよう(出エジプト23:27)
- あなたの 前から追い 払おう(出エジプト23:28)
- 国々を 打ち(詩篇135:10)
- 追い 出した(民数記21:32)
- あなたがたの 前から追い払い(民数記33:52)
- あなたの 前から追い 払われる(申命記6:19)
- 彼らを 根絶やしにされる(申命記9:3)
- 彼らを 征服される(申命記9:3)
- 彼らをただちに追い 払って、 滅ぼす(申命記9:3)
- 彼らをあなたに渡し(申命記7:2)
- あなたの 前から滅ぼされる(申命記7:20)
- 彼らの 王たちをあなたの手に 渡される(申命記7:24)
- 彼らの 名を天の 下から 消し 去ろう(申命記7:24)
「滅ぼす」と「追い出す」は同じ事ではありません。ですから、神様の裁きは2つの種 類に分けることができます。「追い出す」という言葉は3倍多いのです。
追い出すという例を見てみましょう。
- わたしは、また、くまばちをあなたの先に遣わそう。これが、ヒビ人、カナン 人、ヘテ人を、 あなたの前から追い払おう。しかし、わたしは彼らを一年のうちに、あなたの前から追い払うのではない。土地が荒れ果て、 野の獣が増して、あなたを害することのないためである。あなたがふえ広がって、この地を相続地とするようになるまで、わたしは徐々に彼らをあなたの前から追い払おう(出エジプト23:28-30)
- わたしは、あなたの領土を、葦の海からペリシテ人の海に至るまで、また、荒野からユーフラテス川に至るまでとする。それはその 地に 住んでいる者たちをわたしがあなたの手に渡し、あなたが彼らをあなたの前から追い払うからである。あなたは、 彼らや、彼らの神々と契約を結んではならない。彼らは、 あなたの国に住んではならない。 彼らがあなたに、わたしに対する罪を犯させることのないためである。それがあなたにとってわなとな るので、 あなたが彼らの神々に仕えるかもしれないからである。 」 (出エジプト23:31-33)
- わたしはあなたがたの前にひとりの使いを遣わし、 わたしが、カナン人、 エモリ人、 ヘテ人、 ペリジ人、 ヒビ人、 エブス人を 追い払い(出エジプト33:2)
- 昔よりの神は、 住む家。 永遠の腕が下に。 あなたの前から敵を追い払い、『根絶やしにせよ。 』と命じた(申命記33:27)
- パロはイスラエル人を滅ぼさなかったのですが、この「追い払い」はパロがイスラエルに対して使った言葉と同じです:「わたしがパロ にしようとしていることは、 今にあなたにわかる。 すなわち 強い 手で、 彼は 彼らを 出て行かせる。 強い手で、彼はその国から彼らを追い出してしまう。」(出エジプト6:1)
それでは、どうして「追い出す」と「滅ぼす」は同じ箇所に出てくるのでしょうか。 その答えは裁きの目的にあります。神様は人々を皆滅ぼすことにしたのではなく、あ る悪の文化を滅ぼしたかったのです。国は滅びましたが、その国民はただ追い出されました。
オグという例によって、この説を立証できます。
こうして イスラエルはエモリ人の地に住んだ。 そのとき、 モーセはまた人をやって、 ヤゼルを探らせ、 ついにそれに属する 村落を攻め取り、 そこにいたエモリ人を追い出した。さらに彼らは進んでバシャンへの道を上って行ったが、 バシャンの王オグはそ のすべての 民とともに出て来た。 彼らを迎え 撃ち、 エデレイで戦うためであった。しかし、 主はモーセに言われた。 「彼を恐れてはならない。 わたしは彼とそ のすべての民とその地とをあなたの手のうちに 与えた。 あなたが ヘシュボンに住んでいたエモリ人の王シホンに対して行なったように、 彼に対し ても行なえ。 」そこで彼らは彼とその子らとそのすべての民とを打ち殺し、 ひとりの生存者も 残さなかった。 こうして彼らはその地を占領した。(民数記21:31- 35)村にいたエモリ 人は「追い出された」(32節)が、国軍と王は滅ぼされました(3 5節)。
この時代に移住はたいしたことではありませんでした。ほとんどの部族は放浪生活で した。移住は生き方でした。知らせが入れば、数日をかけて、部族全員が移住できま した。カナン人は数10年の知らせがありました。そして、出エジプトの奇跡でその 知らせが強化されました。ほとんどの人はイスラエルが来る前に移住したに違いあり ません。その時代から見捨てられた都市の遺跡は珍しくありません。
神様は長い時間を与えました。カナン人、 エモリ人、 ヘテ人、 ペリジ人、 ヒビ 人、 エブス人は出エジプトの話を聞いただけでなく、イスラエルは40年もの間砂 漠を歩き回った後に征服が始まりました。そして、それは「徐々に」行なわれました (申命記7:22)。イスラエルはどこへもこっそり入らなかったのです。
国に対する裁きであったことはほかの箇所で見られます。ダビデの軍にはヘテ人がま したし(IIサムエル記23:39)、ダビデにはエブス 人の友人がいました(IIサムエル 記24:18-24)。この国々の宗教だけがいけなかったのです。
事実をまとめましょう。
- イスラエルはカナン人を追い出すように命じられました。
- 自ら出なかったカナン人を殺すように命じられました。
- カナン人を遠いところまで追いかけて、全員を殺すという命令が1度もありませ んでした。
- もしカナン人が移住したら、イスラエルはカナン人と平和の結びをすることがで きました。
- 主な目的はイスラエルの文化が回りの惨酷な文化に影響されないことでした。そ の方法はカナン人をそこから追い出すことでした(申命記20:18)。
ですから、エモリ人・カナン人の罰は滅ぼすではなく、その土地から追い出されるこ とでした。
それでは、悔い改めた民族の例を見てみましょう。ヨナ書では、神様はニネベに対す る裁きを逸らしました。
- ニネベの罪が深く、神様がそれを裁く。
アミタイの子ヨナに次のような 主のことばがあった。
「立って、あの大きな町ニネベ に行き、 これに向かって叫べ。 彼らの悪がわ たしの前に上って来たからだ。」(1:1-2) - 神様がヨナを任命し、ニネベへの予言を伝えるように命じる。
ヨナは、 主のことばのとおりに、 立ってニネベ に 行った。 ニネベは、 行き 巡るのに三日かかるほどの非常に大きな町であった。 ヨナは初め、 その町にはいると、一日中歩き回って叫び、「もう四十日する と、 ニネベは滅ぼされる。」と言った。(3:3-4)
- ニネベは予言を無視しないで、悔い改める。
そこで、 ニネベの人々は神を信じ、断食を呼びかけ、身分の高い者から低い者 まで荒布を着た。このことがニネベ の王の耳にはいると、 彼は王座から立って、 王服を脱ぎ、 荒布をまとい、 灰の中にすわった。王と 大臣たちの命令によって、 次のような布告が ニネベ に出された。 「人 も、 獣も、 牛も、 羊もみな、 何も味わってはならない。 草をはんだ り、 水を飲んだりしてはならない。人も、 家畜も、 荒布を身にまとい、 ひたすら 神にお 願いし、 おのおの 悪 の 道と、暴虐な行ないとを悔い改めよ。もしかすると、 神が思い直してあわれみ、 その燃える怒りをおさめ、 私たち は滅びないですむかもしれない。 」(3:5-9)
- その悔い改めることに対して、神様は哀れむ。
神は、 彼らが悪の道から立ち返るために努力していることをご覽になった。 そ れで、 神は彼らに下すと言っておられたわざわいを 思い直し、 そ うされなかった。(3:10)
- 神様ははじめからニネベの人々を愛していました。
主は 仰せられた。 「あなたは、 自分で骨折らず、 育てもせず、 一夜で生 え、 一夜で滅びたこのとうごまを惜しんでいる。まして、 わたしは、 この大きな町ニネベ を惜しまないでいられようか。そこ には、 右も左もわきまえない十二万以上の人間と、 数多くの家畜とが いるではないか。 」 (4:10-11)
- 滅ぼすことは裁きである。
- この裁きは国際的、または異文化間で認められていた罪のためであった。
- 神様が裁きを執行する前に、長い時間警告を出す。
- 無罪の人々には逃げ道が与えられる。
- これらの裁きは非常に珍しい。
神様は不正なお方ではないので、イスラエルはまったく同じ基準に従わなければなり ませんでした。実際、イスラエルがカナン人と同じ罪を犯したとき、同じ罰がイスラ エル人たちにも与えられました。ユダがカナン人と同じ儀式をした時―――子どもの 生贄など (イザヤ書57:5; II列王記 17:17)、儀式的な売春 (エレミヤ書 13:27)、儀 式的な同姓売春 (I 列王記 15:12; 22:46; II 列王記 23:7)、そして社会的暴力の 散乱(エゼキエル書 45:9; イザヤ書 59:6-10)神様はユダ人をその土地から追放する 裁きをくだしました。神様はバビロニア人を送り込みました。預言者はユダ人が殺さ れないよう、神様に従ってその土地を出て行くように告げました。
するとエレミヤはゼデキヤに言った。 「イスラエルの神、 万軍の神、 主は、 こう仰せられる。 『もし、あなたがバビロンの王の 首長たちに降伏す るなら、あなたのいのちは助かり、 この町も火で焼かれず、 あなたも、あなた の家族も生きのびる。 あなたが バビロンの王の首長たちに降伏し ないなら、 この町はカルデヤ人の手に渡され、 彼らはこれを火で焼き、 あな たも彼らの手からのがれることができない。 』」 (エレミヤ書 38:17- 18)
「主はこう仰せられる。 『この町にとどまる者は、 剣とききんと疫病で死ぬ が、 カルデヤ人のところに出て行く者は生きる。』そのいのちは彼の分 捕り物として彼のものになり、彼は生きる。』 主はこう仰せられる。 『この町 は、必ず、バビロンの王の軍勢の 手に渡される。 彼はこれを攻め取 る。 』」 (エレミヤ書 38:2-3)
「あなたは、 この民に言え。 主はこう仰せられる。 『見よ。 わたしはあなた がたの 前に、いのちの道と死の道を置く。 この町にとどまる者は、 剣 とききんと疫病によって死ぬが、 出て、あなたがたを囲んでいるカルデヤ人に くだる者は、 生きて、 そのいのちは彼の分捕り物となる。 なぜなら わたしは、 幸いのためにではなく、 わざわいのためにこの町から顔をそむける からである。 ・・主の御告げ。 ・・この町は、 バビロンの王の手に渡 され、 彼はこれを火で焼くであろう。 』」 (エレミヤ書21:8-10)