2つの悪のうちましな方を選ぶ


最近私の友人の一人が「アメリカは戦争が好きになっちゃったね」と言いました。悲しいことに日本でこのような意見の人は多いようです。この2、3年アメリカは2つの戦争をし、それらの国で未だに戦いが続いているのです。

9.11のテロ以来、多くの日本人は、アメリカのアフガニスタンへの侵入に反対していましたが、侵入する理由は分かっていました。イラク侵入に対してはそうではありません。私の周りの多くの人はイラク戦争を「不法で不要な戦争」と呼んでいます。しかし、アメリカの多数はイラク戦争に賛成しています。それでは、アメリカ人が血に飢えた主戦論者ということなのでしょうか。

アメリカには、あることわざがあります。それは「2つの悪のうちましな方を選ぶ」というものです。その意味は、選択肢が両方悪い時には、マイナス影響が少ない方、あるいは悪が少ない方を選びなさいということです。正気のアメリカ人なら、戦争が好きな人、また戦争がいいという人はいません。そうです。アメリカ人も戦争が嫌いなのです。戦争で自分の命を懸けたい軍人はいません。軍人の友人や家族もそうです。すべてのアメリカ人には少なくとも一人アフガニスタンかイラクに赴いている友人あるいは家族がいると思います。私には何人かいます。もちろん私はその人たちの無事を願っていますし、その人たちが人を殺さなければならない状況に会うことも望んでいません。

しかし、私はイラク戦争に賛成です。無実のイラク人が流れ弾・ミサイルに殺されているからでしょうか。それともアメリカの軍人がテロリストに殺されているからでしょうか。いいえ、そうではありません。

日本のマスメディアは(アメリカのマスメディアも)この戦争がイラクの多量破壊兵器(WMD)所有の容疑にたっていると誤って伝えています。それは最初から違います。アメリカ大使館のイラク戦争前のレポートを読めば分かると思います。イラク戦争の正当化はフセイン政権の降伏条件に対しての違反にたっています。WMDの所有・開発はその中の一つに過ぎません。

降伏条件は守るべきです。守らなければ戦争が今以上にひどくなるに違いありません。もし守らないのであれば勝つ方は負ける方が完全に滅びるまで戦わなくてはなりません。将来脅威となることを防ぐために負けた方の全ての軍人と政治家を殺さなければならなくなります。イラクが戦争の前にすべてのWMDを廃棄していたとしても、降伏条件に反していたことにはかわりありません。そしてそれは12年間続いていました。

イラク戦争の理由は戦争の前からははっきり説明されていました。

  • サダム・フセインによる国連決議違反
  • サダム・フセインによる大量破壊兵器開発
  • サダム・フセインによるイラク国民の弾圧
  • サダム・フセインによる国際テロ支援
  • サダム・フセインによる湾岸戦争捕虜に関する説明拒否
  • サダム・フセインによる略奪財産の返還拒否
  • サダム・フセインによる 経済制裁の妨害行為
イラクが降伏条件(16の国連決議)を守らなかった行為は、戦争を正当化する十分な理由だと私は思います。なぜなら、降伏条件を守らないということは湾岸戦争がまだ終わっていなかったということになるからです。しかし、多くのアメリカ人は別の理由で戦争に賛成しています。それはこの戦争によってフセインを倒すことになるからです。フセインは何十万人ものイラク人を殺害してきました。フセイン政権を倒すための戦争でも無実の人の命が犠牲になってしまうでしょうが、フセイン政権が続けばはるかに多くの犠牲者がでるのは明らかです。

2003年のイラク戦争は必要でした。殺人者である独裁者を倒し、何万人もの命が救われたでしょうし、湾岸戦争の降伏条件も実施されたのです。国連安全保障理事会決議1441の中で「…これに関連し、安全保障理事会がイラクに対し、義務違反が続けば同国は重大な結果に直面するであろうと、再三警告してきたことを想起する…」とはっきり書いてあるため戦争を宣言する新たな決議は不要でした。仮にもう12年間待ったとしてもフセインはその降伏条件を守ろうとしなかったでしょう。また、テロリストに自分の兵器を売らないという保障はどこにもなかったでしょう。そして、フセインが自ら数多くのイラク市民を殺す行為をやめることはなかったでしょう。

アメリカのすべての行為が正しいとは言いません。しかし、戦争は時には必要悪です。アメリカとヨーロッパが1939年にヒトラーと戦争しなかったならヒトラーは戦争しなくてもヨーロッパを征服することができたかもしれません。しかし、ヒトラーがヨーロッパの皇帝になったらヨーロッパが平和になったのでしょうか。それは平和と言えるのでしょうか。

確かに平和主義は個人関係では有効ですが、力で支配されている世では人々の自由を守る方針にはなりません。私は戦争がいいことだと議論しません。しかし、戦争が2つの悪のうちましな方であることが時にはあります。