熱力学第二法則:批判者への答え

ジョナサン・サーファティ

開放系


熱力学第二法則には数多くの定義ができます。例えば、


システムのタイプにもよります:

・・・熱力学の第二法則の例外はありません。通常第二法則は孤立系に対して使われますが、開放系にも同じように適用できます。・・・第二法則が開放系に適用できないという概念がなぜか熱平衡状態から大きく離れた系の分野と連想されているようです。我々にはこの間違いを撤廃する責任があります。1
開放系には無秩序になる傾向があります。局部の秩序が増大するのに対して他のところで無秩序が増大する特別なケースがあります。その一つは結晶化です。もう一つは他のところで無秩序を増大させ、複雑さを維持・増大させることにエネルギーを使っているプログラム式機械です。生命体には生命の複雑な構造をつくるためのこのようなエネルギーを交換する機能があります。

開放系に対し第二法則は適用できないという主張は進化論を支持する上で何の役にも立ちません。生エネルギーは生命体にある、特殊化された複雑な情報を生成することはできません。無向エネルギー(方向性を持たないエネルギー)には破壊を加速する力しかありません。太陽の光を浴びるだけで人は複雑なものにはなりません。人間の体には生の太陽エネルギーを利用するための機構がありません。長く太陽の光を浴びすぎると太陽の無向エネルギーが突然変異を引き起こさせ皮膚癌になります。(突然変異は遺伝子におけるコピーエラーで、ほとんどの場合情報が失われるのです。)同様に、主張されている原始スープに無向エネルギーを与えると生命の複雑な分子を作る前に破壊されます。

これを例えれば、車を走らせようとしてガソリンをかけて火をつけることと同じです。車はガソリンにあるエネルギーがピストン、クランク軸などによって活かされなければ走りません。陶器店で暴れている牛も生のエネルギーの例です。しかし、その牛を発電機に装具を付けてそのエネルギーを陶器を作る機械に向ければ、ものを作るために使うことができます。

細胞はたんぱく質を作るためにDNAにコーディングされている情報と非常に複雑な解読機械を使っています。研究室では化学者は基礎的要素を正確に組み合わせるために高度な機械を使わなければなりません。生エネルギーはよくて間違った組み合わせ、悪くて基礎的要素の破壊をもたらします。

もっとも単純な生物に組み込まれている情報でも、書こうとしたら1000ページ以上になります。人間の体にはこれの500倍の情報が組み込まれています。これほどの大量の情報が無向のプロセスによって生成されたという考えは空想の産物です。猫がキーボードの上を歩けば本ができるのと同じような概念です。

結晶


ボイス・レンズバーガーという創造論反対の科学者が次のように述べています。
もし熱力学の第二法則が本当に局所での秩序の増加を不可能にしているのであれば、アイスキューブは存在しないはずである。氷の結晶にある分子が液体の水にある分子より整頓されていることは、電気が供給されている冷凍庫の発電機でのエネルギーの消費で可能となった。そしてそれは第二法則に反していない。2
レンズバーガーは創造論者のこの議論に対する反論を知らないようです。エネルギー源は生命の「特殊化された複雑性」(翻訳者ノート:特殊化された複雑性とは、偶然に繰り返される可能性が低いレベルまで特殊化された、知的パターンを表す自然過程のことを生み出すには十分ではありません。エネルギーは何らかの形で方向性が必要です。アイスキューブの例は、電気エネルギーがただ水に流れても氷はできません!かわりにたくさんの熱を発し、水はもっと単純な成分である水素と酸素に分解されます。

氷の例は熱力学的に生命の起源にふさわしい例ではありません。氷が固まるとき、周囲に熱エネルギーを発します。この時、周囲のエントロピーを増大させます。もし、周囲の温度がある程度低くければ、結晶形成時のエントロピー減少の値よりエントロピー増加の値の方が大きくなります。しかし、アミノ酸やヌクレオチドからたんぱく質や核酸を形成するためにはエントロピーを減少させるだけではなく、その周囲から熱エネルギー(エントロピーも)を取り入れるのです。したがって、通常のアミノ酸やヌクレオチドは自然にたんぱく質や核酸をどの温度でも形成します。

レンズバーガーは秩序と複雑さを混同しています。結晶は秩序であり生命は複雑です。周期信号を例にあげるなら、ABABABABABABは秩序の例です。しかしこれはわずかな情報しかありません。'AB'と'6回プリント'です。

結晶は整然とした周期原子網で、この列に類似しています。このような結晶に含まれている情報量は少なく、少数の原子(例えば単位胞を構成するもの)の位置と「回その列を繰り返す」という指令だけです。結晶が壊れ小さくなっても同質の結晶でしかありません。一方、たんぱく質、DNAやその他の生体構造が壊れると破滅をもたらします。なぜなら、それらのものはただの部品以上の情報があるからです。

原子の中にある方向性のある力によって決まる整然とした配列のエネルギーが一番少ないため結晶は生成されます。したがって周囲に大量の熱が放出されるので全体のエントロピーは増加します。

ランダムな信号(例えば、WEKJHDF BK LKGJUES KIYFV NBUY)は複雑ではありますが、秩序ではありません。しかし、ランダムな信号には有益な情報が含まれていません。ランダムではない非周期信号−特殊化された複雑性−、例えば'I love you'、には有益な情報が含まれている可能性があります。しかし、これは受け取る人が英語を理解していなければ、有益ではありません。その言語を理解しなければ、その文字列は恋愛の気持ちを伝えることはできません。言語の規定からその文字列が意味を成します。

たんぱく質とDNAもランダムではない非周期列です。その中にある列は構成のアミノ酸とヌクレオチドの特性によって作られるわけではありません。これは構成物質の特性によって作られる結晶の構造との大きな違いです。DNAとたんぱく質の配列はなんらかの知的プロセスによって外から組み込まれる必要があります。たんぱく質はDNAによってコード化されており、そのDNAコードはランダムなプロセスではなく初めから存在していたコードによって構成されています。

多くの科学実験はその基礎的要素が単に混ざり、化学的に結合されるとランダムな配列ができると証明しています。たんぱく質を作るために科学者はその構成単位を一つずつ加えなければなりません。そして、間違った反応が起こらないようにそれぞれの構成単位が化学的段階を必要とします。DNA鎖を正しい配列にすることも同じです。

進化的生命の起源についてのエキスパートであるレスリー・オーゲルは三つの異なった概念があると裏付けました。それは秩序、ランダムさ、特殊化された複雑性です。

生物はその特殊化された複雑性によって区別されます。御影石のような結晶は複雑性に欠けているため、そしてポリマーのランダムな混合物は特殊化された複雑性に欠けているため生物として認められません。[L. Orgel, The Origins of Life, John Wiley, NY, 1973, p. 189]

現在知られているもっとも単純な自己複製する生命体であるマイコプラズマさえ482の遺伝子を持っており、自分で作れない基礎的要素を獲得するためにより複雑な生物に寄食しなければなりません。論理上もっとも単純な生物は少なくとも256の遺伝子を必要とし、それでも生き延びることができるかどうかは疑問です。3

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引用文献



1. John Ross, Chemical and Engineering News, July 7, 1980, p. 40; cited in Duane Gish, Creation Scientists Answer their Critics Institute for Creation Research, 1993.
2. Boyce Rensberger, 'How Science Responds When Creationists Criticize Evolution', Washington Post, 8 Jan 1997.
3. For a good discussion on thermodynamics; open, closed and isolated systems, order vs. complexity; and other difficulties for evolutionary origin of life scenarios, see Charles B. Thaxton, Walter L. Bradley and Roger L. Olsen, The Mystery of Life's Origin, 1984, Foundation for Thought and Ethics, Lewis & Stanley, Dallas, TX (relevant chapters are online).